📋 監査役会議事録
- 監査役会議事録の必須記載事項
- 💡 IPO審査で「評価される」ためのポイント
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- 監査役会議事録_仮設例
- 仮設例_監査役会議事録「 何を書き、何を書かないか」
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3.監査役会_議事録ひな形⬇️ 資料をダウンロード
💡 ボタンをクリックすると、Word形式・Excel形式のファイルが自動的にダウンロードされます。
ダウンロード後は自由に編集してご利用頂けます。
1.監査役会議事録の必須記載事項
1.開催日時・場所
- 例:20**年**月**日 10:00〜11:30、当社本店会議室
- ※Web会議や電話会議の場合は、その旨と出席者の接続場所を明記
2.開催方法
- 会議の開催形式(対面、オンライン等)
3.議事の経過の要領・その結果
- 議論のプロセス(誰が、何を問い、どう結論に至ったか)
4.監査役会で述べられた意見または発言の内容
※特に重要
- 「特段の意見なし」という結論だけでなく、どのような論点・懸念が示されたかを具体的に記述
5.以下の事項が含まれる場合はその内容
- 取締役の職務執行に関する違法行為や著しい不当事項がある場合
- 取締役会への報告内容
6.反対した監査役の氏名とその理由
- 意見が割れた場合、または反対がある場合は必ず記載が必要
7.議事録を作成した監査役の氏名
8.議事録作成の日時・場所
9.議事録に押印(または電子署名)した監査役の氏名
- 出席した監査役全員の署名または押印が必要
💡 2.IPO審査で「評価される」ためのポイント
- 単に法定事項を並べるだけでは「形式的な議事録」とみなされます。審査をパスするためには、以下の要素を意識的に盛り込んでください。
1.「異論・懸念」の可視化
- 審査官は「監査役会が経営のブレーキとして機能しているか」を見ています。「〇〇監査役より〇〇のリスクについて懸念が示されたが、取締役より〇〇の回答があり、十分に納得できたため了承した」といった対話の記録を残してください。
2.配布資料との紐付け
- 議事録の中で「本日配布の資料No.〇に基づき審議した」と明記し、配布資料を議事録とセットで保存・管理してください。
3.フォローアップ管理
- 議論の中で決まった「宿題(改善事項)」が、いつ、誰によって完了されたかを管理するシート(アクションアイテム管理)を議事録と連携させると、さらに評価が高まります。
監査役会議事録_仮設例
- 監査役にとって議事録の作成は「単なる義務」ではなく、「ガバナンスが有効に機能している(社内自浄作用がある)ことを証明する最大の証拠書類(エビデンス)」です。
- 形だけの議事録(「全員一致で承認した」とだけ書かれたもの)では、上場審査を突破できません。
【解説】
- IPO審査において、審査官や主幹事証券が真っ先に開示を求めるのが「監査役会の議事録」です。審査官が見ているのは、会議の有無ではなく「議事でどのような議論(牽制・自浄作用)が行われたか」の記録です。
- 以下に、内部通報や地方往査でのリスク発覚に対し、監査役会が「会社の安全弁」として機能した際の、実効的な議事録の実例(ひな形)を掲載します。
📄第**回 監査役会議事録(仮設例)
1.日時
202*年7月4日(*曜日) 14時00分~15時30分
2.場所
当社 本社 監査役室(一部の出席者はWeb会議システムにより出席)
3.出席者
- 常勤監査役:関東一 (議長兼議事録作成者)
- 社外監査役:甲野 一郎
- 社外監査役:乙山 次郎
- (以上、監査役全員出席。また、議題1及び2の報告のため、内部監査室長 丙川 執行役員が一時同席)
4.議長および議事録作成者
定款及び監査役会規程の定めに基づき、常勤監査役の関東一が議長となり、同時に議事録作成者となった。
5.開会宣言
議長は、監査役の全員が出席し、本日の監査役会が適法に成立した旨を告げ、開会を宣言した。
【報告事項】第1号
【常勤監査役による地方拠点(〇〇支店・営業所)への往査結果および内部監査人との連携に関する報告の件】
- 議長(常勤監査役 関東)より、202*年6月に実施した地方拠点(〇〇支店および〇〇営業所)への実地往査(往査)の結果について、以下の通り報告がなされた。
【往査の目的と実施概要】
- 本社の管理データ(運用実績)のみに依拠せず、現場のガバナンス執行実態(モラル・労務環境)を直接検証するため、内部監査室(内部監査人)と密に計画をすり合わせた上で合同往査を実施した。
【現場での発見事項(ミクロ・マクロの検証)】
- 内部監査人が伝票および小口現金の現物照合(ミクロ検証)を行っている傍ら、常勤監査役において支店長・営業所長および現場事務員へのヒアリング(マクロ検証)を実施。結果として、〇〇支店において「本社の稟議承認を回避するための、職務権限規程をすり抜ける『分割発注(小口化)』の懸念がある取引」を1件検知した。また、同営業所において、タイムカードの打刻時間とPCのログオン履歴に一部乖離があり、「隠れサービス残業」のリスク(労務リスク)があることを確認した。
【改善実績へのアプローチ】
- 本件について、内部監査室より当該拠点に対し即座に是正勧告を発行させた。さらに常勤監査役より、管掌役員(ヒアリング実施済)および社長に対し、単なる注意にとどめず、承認ワークフローのシステム改定および労務管理規程の全社見直しを求める牽制を行った旨を報告した。
【監査役間の質疑応答・意見】
甲野監査役(社外)
- 分割発注の件、取引金額の多寡に関わらず、上場審査において「不適切会計」や「経営陣の意図的な規程すり抜け」と突っ込まれるリスクが極めて高い。管掌役員がこれを平時から認識していたのか、次回の役員ヒアリングで厳しく問い質す必要がある。
乙山監査役(社外)
- 労務リスク(隠れサービス残業)は主幹事証券のウェッジ(審査)でも一発アウトになる致命傷になり得る。内部監査室と連携し、他拠点でも同様の事象がないか、早急に網羅的なPCログ調査(自浄作用の発揮)を会社側に要求すべきである。
議長(関東)
- 双方の意見に賛同する。会社側がこれらを「本質的な改善実績」としてエビデンス化するまで、監査役会としてフォローアップを継続する。
【報告事項】第2号
【内部通報窓口(監査役直通窓口)への通報事案に関する調査進捗および通報者保護措置に関する報告の件】
- 議長より、先月「監査役直通窓口」宛てに匿名で寄せられた、特定の取引先との「不透明な交際費・キックバック疑惑」に関する通報について、その後の対応状況が報告された。
【安全弁としての情報遮断措置 】
- 通報の性質上、社内の役員への情報漏洩(犯人探しの発生)を防ぐため、常勤監査役の判断により、社長および当該部門の執行府から
【報告事項 】第3号
【会計監査人との「三様監査定例協議」の結果に関する報告の件】
議長より、直近で実施した会計監査人(〇〇監査法人)および内部監査室との三様監査ミーティングの論点について報告がなされた。
【リスク・アプローチの同期 】
- 報告事項第1号で検知した地方拠点の売上プロセスおよび在庫管理(架空在庫リスク)の脆弱性について、会計監査人と事前に情報を共有した。
【上場延期リスクの先摘み】
- 期末の決算監査(実地棚卸)において、会計監査人と内部監査人が当該営業所への立会いを合同で実施するスキームを組成。会計監査人側からも「監査役会が先んじて自浄作用を発揮し、改善に向けて動いていることは、監査上の主要な検討事項(KAM)の平時からのリスク低減として極めて高く評価できる」との見解を得た旨を報告した。
【決議事項】第1号
【内部通報(キックバック疑惑)に係る独立外部弁護士の選任および費用請求の件】
- 議長(常勤監査役 関東一)より、報告事項第2号に詳述する「監査役直通窓口」への内部通報(特定の取引先との不透明な交際費・キックバック疑惑)について、社内の利害関係から完全に独立した立場で客観的な事実調査を行うため、会社法第388条に基づき、外部の危機管理弁護士を選任し、その調査費用を会社側に請求することについて諮った。
【選任する弁護士】
- 〇〇法律事務所 弁護士 〇〇 〇〇 氏
【選任の理由】
- 当該部門の担当役員および執行府からの影響力を完全に遮断(情報遮断)し、東証審査に耐えうる客観性と法的専門性を担保した調査(自浄作用の発揮)を行うため。
【費用の請求】
- 調査に要する着手金およびタイムチャージ費用(概算〇〇万円)について、会社法第388条(監査役の費用請求権)に基づき、会社に対して支払いを請求する。
- 審議の結果、全監査役が本選任および費用請求の妥当性を認め、全員一致をもって原案通り可決承認した。
【決議事項】第2号
【地方拠点(〇〇支店・営業所)の規程違反および労務リスクに関する「取締役会への是正勧告書」交付の件】
- 議長より、報告事項第1号に詳述する地方拠点への合同往査の結果、発覚した「職務権限規程をすり抜ける分割発注(小口化)の疑い」および「隠れサービス残業(労務リスク)」について、これを単なる現場のエラーとせず、全社的な経営リスク(上場延期リスク)と捉え、監査役会として取締役会(経営陣)に対し、公式に「ガバナンス是正勧告書」を交付し、期限を定めて本質的な改善実績の報告を求めることについて諮った。
【勧告の内容】
➀全社における過去1年間の稟議・発注データの遡及調査および分割発注の有無の精査。
②PCログオン履歴とタイムカードの全社突合、および未払い残業代が発生している場合の適切な清算と労務管理システムの改定。
③上記に関する具体的な再発防止策(改善実績)の策定と、2ヶ月以内の監査役会への書面報告。
- 審議の結果、本事案はIPO審査における致命傷になり得るリスクであり、監査役会が「会社の安全弁」として公式な是正要求を行うべきフェーズであると判断し、全員一致をもって本勧告書の交付を可決承認した。
(※本決議に基づき、同日、代表取締役社長宛てに「ガバナンス是正勧告書」が手交された。)
閉会宣言
議長は、本日予定されたすべての報告および審議を終了した旨を述べ、午後15時30分に閉会を宣言した。
以上の議事の要領および結果を明確にするため、本議事録を作成し、出席した監査役が以下に署名(または記名押印・電子署名)する。
202*年7月4日
- 常勤監査役: 関東一(印・署名)
- 社外監査役: 甲野 一郎 (印・署名)
- 社外監査役: 乙山 次郎 (印・署名)
💡まとめ
【決議1】 会社法388条を盾に、社長に内緒で(あるいは突っぱねて)監査役主導で外部弁護士を雇う。
【決議2】 往査で見つけた地雷に対し、口頭の注意ではなく「是正勧告書」という公文書を発行して社長を追い詰める。
【結果】 これらが審査官に「この会社の監査役会は、本気で自浄作用を仕掛けている(形骸化していない)」と認められる。
- 定型の「第1号議案:監査方針の件」といった退屈なひな形ではなく、こうした「有事の際、監査役会はどう牙を剥くべきか」が分かる決議事項の例です。
仮設例_監査役会議事録「 何を書き、何を書かないか」
【何を書き、何を書かないか。それは、自分がどう生きるかという問いだった。】
※本ストーリーは、監査役が実際に直面しやすい状況を仮設のストーリーに託したものです。特定の企業・個人を指すものではありません。
【金曜日の夜—議事録作成の夜】
今日の監査役会が終わったのは、午後6時だった。
中村隆一は、監査役室の電気をつけたまま、パソコンの画面を見つめていた。
画面には、監査役会議事録のテンプレートが開かれている。
社外監査役の二人はすでに帰った。議事録の作成は、常勤監査役である中村の仕事だ。
今夜の監査役会で起きたことを、中村は今もうまく整理できずにいた。
問題は、3つあった。
仮設例_監査役会議事録「 何を書き、何を書かないか」
【監査役会議事録を前にした夜】
今日の監査役会で起きた「3つの出来事」
【出来事①:議長の問題】
今日の監査役会の議長は、社外監査役の鈴木が務めた。
しかし実際の会議の進行はほぼ中村が行い、鈴木は形式的に座っているだけだった。途中で二度、鈴木がスマートフォンを確認しているのを中村は見た。
議事録には「議長:鈴木太郎(社外監査役)」と書く。
それは事実だ。しかし、「議長が実質的に機能していなかった」という事実は、どこに書けばいいのか。
【出来事②:社外監査役Mの欠席】
もう一人の社外監査役、村田は今日欠席だった。
理由は「他の会議と重なった」とのことだ。
今年度に入って、村田の出席は3回のうち1回だ。
欠席には「やむを得ない事情による欠席」という建前があるが、「他の会議と重なった」は本当にやむを得ない理由なのか、中村には判断が難しい。
議事録には「欠席:村田博(社外監査役)、理由:所用のため」と書くことになる。
しかし「出席率33%の社外監査役」という実態は、書かれない。
【出来事③:中村自身が言えなかったこと】
今日の監査役会の議題の一つは、内部監査の結果報告だった。
中村は先週の往査で、購買部門における発注プロセスに問題を発見していた。特定の取引先への発注が集中しており、相見積りが取られていない案件が複数あった。
しかし今日の監査役会では、その事実を報告しなかった。
理由は二つある。
一つは、取締役会の直前に、社長から「今日の監査役会はなるべく短く」という言葉を聞いたからだ。
もう一つは、その取引先が、社長の旧知の会社であることを、先週の往査後に確認していたからだ。
「社長の顔が頭をよぎった。言うと、また空気が変わる」
中村は結局、購買部門の問題を「継続確認中」という一言で片付けた。
それで今日の監査役会は終わった。
仮設例_監査役会議事録「 何を書き、何を書かないか」
【夜の葛藤—「何を書くか」という問い】
中村は画面を見ながら、3つの葛藤を感じていた。
【葛藤①:議長の実態をどこまで書くか】
「書きたい内容」
「議長は鈴木社外監査役が務めたが、実質的な進行は常勤監査役中村が担った。鈴木社外監査役は会議中に携帯を確認する場面があり、議論への参加は限定的だった」
しかしこれを書けば——。
鈴木は読んだときに激怒するかもしれない。あるいは、主幹事証券が読んだとき、「社外監査役の機能が形骸化している」という評価につながるかもしれない。
上場まで残り6ヶ月。この時期に社外監査役との関係が壊れることは避けたい。
「書かない選択肢」
「議長:鈴木太郎(社外監査役)が議事を進行した」
これが普通の書き方だ。形式として間違っていない。
しかしこれを書けば、「議長が実質的に機能していなかった」という事実は永久に記録されない。
中村は考えた。
「形式的な記録と、実態の記録は、どちらが正しいのか」
仮設例_監査役会議事録「 何を書き、何を書かないか」
【葛藤②:村田の欠席をどこまで書くか】
「書きたい内容」
「社外監査役村田博は、他の会議との重複を理由に欠席した。今年度の村田の出席率は33%(3回中1回)であり、監査役としての活動の継続性に課題がある」
しかしこれを書けば——。
村田は中村より10歳上の元弁護士だ。こういう記載を見たら、どう感じるか。
主幹事証券が見れば、「社外監査役の体制が不十分」として上場への影響が生じるかもしれない。
「書かない選択肢」
「欠席:村田博(社外監査役)、理由:所用のため」
これで十分だ。欠席の事実は記録される。出席率の問題は、別の場で対処できる。
しかし中村は自問した。
「別の場で対処する、とはどういうことだ。具体的には何もしないということではないか」
仮設例_監査役会議事録「 何を書き、何を書かないか」
【葛藤③:自分が言えなかったことをどう書くか】
これが、今夜最大の葛藤だった。
購買部門の問題を、中村は今日の監査役会で報告しなかった。
それをどう記録するか。
【選択肢A:「言えなかった」という事実を正直に書く】
「常勤監査役中村より購買部門の往査結果について報告があった。
発注プロセスに問題が確認されているが、詳細については次回監査役会で改めて報告することとした。
なお、当該取引先が代表者(社長)の関係者である可能性を踏まえ、確認事項が整理されてから報告する判断をした」
これは正直だ。
しかし「社長の関係者である可能性を踏まえ」という部分は、後から読んだ誰かが「中村は社長に遠慮して言わなかった」と解釈するかもしれない。
【選択肢B:「継続確認中」という記録のままにする】
「常勤監査役中村より、購買部門の往査結果について『継続確認中』との報告があった」
これが今日実際に言ったことだ。これが事実だ。
しかし、「継続確認中」の裏にある「社長の顔が頭をよぎって言えなかった」という事実は、どこにも記録されない。
【選択肢C:別の方法で記録する】
議事録ではなく、自分の監査調書に、今夜「言えなかった理由」を記録しておく。
議事録は会社の公式記録。調書は監査役個人の記録。
二つは別のものだ。
議事録に書けないことを、調書に書く。この組み合わせが、最も誠実な対応かもしれない。
仮設例_監査役会議事録「 何を書き、何を書かないか」
【夜の10時—中村が辿り着いた「3つの答え」】
1時間半悩んだ後、中村は3つの葛藤それぞれについて、自分なりの答えを出した。
【答え①:議長の実態について】
中村は、議事録に「議長が実質的に機能していなかった」とは書かないことにした。
その代わり、鈴木に個別で話すことにした。
「今日の会議での進行について、次回からもう少し積極的に関与していただけると助かります」
書くのではなく、直接言う。記録より対話を先にする選択だ。
議事録には、事実として「議長:鈴木太郎(社外監査役)が議事を進行した」とだけ書く。
ただし、自分の調書に「社外監査役の会議への参与状況について、個別に面談して改善を求めた」と記録しておく。
【答え②:村田の欠席について】
中村は、出席率33%という事実を、議事録ではなく、監査役会の年間の「活動サマリー」に記録することにした。
年間の活動サマリーは、主幹事証券への提出資料に含まれる。そこに「社外監査役村田の年間出席率:33%」と記載されれば、事実として伝わる。
村田本人に対しては、近いうちに「出席の頻度について相談したいことがある」と個別で話すことにした。
議事録には「欠席:村田博(社外監査役)、理由:所用のため」とだけ書く。
【答え③:自分が言えなかったことについて】
これが最も重要な決断だった。
中村は、議事録に「継続確認中」とだけ書くことはしないことにした。それよりも少しだけ、正直に書くことにした。
「常勤監査役中村より、購買部門の往査において発注プロセスに要確認事項が複数あることを報告した。
詳細については、取引先との関係性の確認が完了次第、次回監査役会で正式に報告する予定」
「取引先との関係性の確認」という表現を入れた。
「社長の関係者」とは書かない。
しかし「関係性の確認」という言葉を入れることで、「単なる先送り」ではなく「何かがあって確認中」であることが伝わる。
そして、自分の監査調書には、もっと正直に書いた。
仮設例_監査役会議事録「 何を書き、何を書かないか」
「今日の監査役会では、購買部門の発注集中の問題と、取引先と社長との関係の可能性について報告を保留した。
理由は、社長から事前に『短くまとめてほしい』という意向を受けたこと、および取引先と社長との関係が未確認であり、確認完了前の報告が混乱を招く可能性を考慮したためである。
ただし、この判断が『社長への遠慮』から来ているという自覚もある。
来週中に取引先との関係を確認し、必要であれば社長への個別報告を先に行ってから次回監査役会で報告する」
書き終えて、中村は深呼吸した。
「調書には、本当のことを書いた」
仮設例_監査役会議事録「 何を書き、何を書かないか」
【夜の11時—議事録の最終確認】
中村は完成した議事録を読み返した。こう仕上がった。
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【監査役会議事録)
日時:○年○月○日(金)午後4時00分〜午後5時45分
場所:本社会議室
出席:鈴木太郎(社外監査役・議長)、中村隆一(常勤監査役)
欠席:村田博(社外監査役)、理由:所用のため
議長は、定款の規定に基づき、社外監査役鈴木太郎が務めた。
【議題1】内部監査の結果報告
常勤監査役中村より、以下の部門の往査結果を報告した。
- 総務部門:特記事項なし
- 営業部門:売上計上のタイミングについて1件確認中(前回指摘事項)
- 購買部門:発注プロセスに要確認事項が複数あることを報告した。
詳細については、取引先との関係性の確認が完了次第、
次回監査役会で正式に報告する予定。
【議題2】三様監査の連携状況
- 監査法人との第3四半期連携会合(先月実施)について中村より報告。
- 内部監査との四半期連携(今月実施予定)については次回報告予定。
【議題3】次回監査役会の日程確認
次回開催:○月○日(金)午後4時
確認事項:購買部門の発注プロセス問題の詳細報告
以上、本議事録の内容を確認し、出席者全員が承認した。
議長:鈴木太郎 印
出席者:中村隆一 印
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完璧な議事録ではない。
言えなかったこと、書けなかったことが、まだある。
しかし中村は、「今日書けることを、正直に書いた」と思った。
「完璧な記録」より「正直な記録」の方が、長く見れば自分を守る。
仮設例_監査役会議事録「 何を書き、何を書かないか」
【翌月曜日—議事録の配布前に】
議事録を社外監査役に送付する前日の月曜日、中村は鈴木に電話した。
「先日の監査役会について、少し相談があります。
次回から議長として議論をリードしていただければ、監査役会の実効性がさらに高まると思いまして」
鈴木は少し間を置いた後、言った。
「……そうですね。正直、前回は準備が足りませんでした。次回から意識します」
意外に素直な返答だった。
「書く前に話す」——その判断は正しかったと思った。
仮設例_監査役会議事録「 何を書き、何を書かないか」
【翌週—購買部門の取引先の確認】
翌週、中村は購買部門の取引先について確認を進めた。
登記情報の確認、発注記録の分析、購買担当者へのヒアリング——。
結果として、取引先と社長の間に直接の親族関係はなかった。しかし「社長の旧知の会社」であることは確認された。
中村は社長に個別で話した。
「購買部門で相見積りなしの発注が集中している取引先があります。
この取引先は社長とご縁のある会社とのことですが、第三者性の証明のために相見積りを取得していただく必要があります」
社長は少し驚いた様子を見せたが、こう答えた。
「分かった。対応する」
監査役会で「言えなかった」ことが、個別の社長面談で「言えた」。
そして翌月の監査役会では、購買部門の問題を正式に報告した。
仮設例_監査役会議事録_「 何を書き、何を書かないか」
【このストーリーが伝えたいこと】
監査役会議事録は、「会社の公式記録」だ。
だからこそ、そこに何を書き、何を書かないかは、慎重に考える必要がある。
議事録に
- 書けること、
- 書くべきこと、
- 書けないこと
—この三つは、必ずしも一致しない。
- 【書けること】今日の会議で起きた事実】
- 【書くべきこと】第三者が読んで「何が議論されたか」を理解できる内容
- 【書けないこと】確認中の事実・個人への評価・自分の内面の葛藤】
書けないことは、監査調書に書く。監査調書は、監査役自身の「もう一つの記録」だ。
議事録と調書の二つが揃ったとき、監査役の活動の全体像が見えてくる。
中村が今夜学んだのは、そういうことだった。
- 議事録は、書けることを正直に書く場所
- 調書は、全部を正直に書く場所
この二つの使い分けが、監査役という仕事の誠実さの形だと、中村は思った。
本ストーリーは、監査役が実際に直面しやすい状況を仮設のストーリーに託したものです。 特定の企業・個人を指すものではありません。
出典:IPO監査役ひろば(https://www.kansayaku.net/)
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